2020.07.08 自民党が Xi Jinping 国賓中止要請を決議

2020年7月8日付の産経新聞朝刊記事によると、自民党がチャイナのXi Jinping国家主席の国賓来日に関する中止要請を決議し、今日にも菅義偉官房長官に提出されるようです。

まず、わたしは政権与党がXi Jinping国賓中止要請を決議したことは評価したい。「内容の後退」については、後述しますが、いま最も重要なことは歴史に学び過ちを繰り返さないことです。

1989年[US213]6月4日に六四天安門事件がおきました。自由と民主主義に対する弾圧が行われ、人権が侵害されと言う意味では、2020年[US244]6月30日の香港国家安全法制定と同じです。この後のチャイナの国際社会復帰を手助けしたのが、どの国だったかをご存知でしょうか?同じ共産主義国家のロシア(当時のソ連)?いえいえ、日本だったのです…

六四天安門事件から僅か3年後の1992年[US216]10月23~28日歴代天皇で初めて大125代天皇明仁陛下(現上皇)が皇后陛下と共にチャイナを訪問したのだ。これが「日本がチャイナを許した」というメッセージとなり、チャイナは欧米の経済制裁を解除させることに成功する端緒となったのです。

細かいことは全て置いておいて、今回、日本はこれと同じ過ちを繰り返してはいけません。もしすれば、自由主義・民主主義陣営の一員ではないと欧米からみなされますし、チャイナに対して「日本は香港国家安全法を容認する」という誤ったメッセージを送ることになるからです。

受動態で書くとあやふやになるのであれば、敢えて能動態で書くと、日本が同じ過ちを犯せば、チャイナが「日本はチャイナ流の自由主義・民主主義を容認した」「日本は香港国家安全法を容認した」と全世界で吹聴するのは火を見るよりも明らかであり、アメリカが「日本はチャイナの味方なのか?」と疑問を持ち、台湾が「日本は台湾の自由・民主主義・独立を支持しないのか?」と疑問を持つことになるからです。

さて、2020年7月8日付の産経新聞朝刊記事の内容から2つ学んでおきましょう。自国の政権与党の幹事長がどの様な人物なのかをよく知っておかなければなりません。

  1. 記事によると、元々『習近平国家主席の国賓訪問については、中止を要請する』という文言だったのが、二階俊博幹事長らの要望により『党外交部会・外交調査会として、習近平国家主席の国賓訪問については、中止を要請せざるを得ない』と変更されたそうです。
  2. 同じく記事によると、二階俊博幹事長は、『日中関係のために先人たちが紡いできた努力をなんだと思っているのだ』『外交は相手のあることだから慎重の上にも慎重に行動すべきだ』などと発言しているそうです。

この記事内容が事実だとすると、二階俊博幹事長は「現在の香港人の抱える不安や恐怖」や「自由主義・民主主義・人権」よりも日中関係の方が気になるらしく、「チャイナが怒ったらたまらない」と不安に思っている可能性があります。

外交一般についてもそうですが、とりわけチャイナ相手に『外交は相手のあることだから慎重の上にも慎重に行動すべきだ』という考え方は通用しません。過去数年間の南シナ海におけるチャイナの振る舞いを見れば「慎重な相手=大きな抵抗をしない相手」に対してチャイナが強圧的な外交を展開することは証明済です。

なにより、同じ東アジアの住民として、香港人の人権と不安感・恐怖感を無視している印象を受けます。少々、日中関係に支障をきたし、経済的なダメージを負うとしても、香港人のために最低限の行動を起こす責務が日本にはあるのではないでしょうか。

ともかく、今回の件は二階俊博幹事長がどの様な人物なのかを知るひとつの手がかりを提供していると共に、結局『習近平国家主席の国賓訪問については、中止を要請』という文言は残ったということが重要ではないかと、わたしは考えます。

文責:四々縦七

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