2016.07.12 チャイナ主張の九段線は条約違反と判断された(南シナ海仲裁裁判)

2016年[US240]7月12日、チャイナが主張する九段線は海洋法に関する国際連合条約に違反すると判断された(南シナ海仲裁裁判)。

最初にクールザックリまとめてみました。

2016年[US240]7月12日、南シナ海仲裁裁判(South China Sea Arbitration)において、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所は、「チャイナが主張する九段線は『海洋法に関する国際連合条約』に反する」等の判断を下しました。チャイナの海洋権益主張が条約違反すなわち国際法違法であるとの判決でした。

『海洋法に関する国際連合条約 (United Nations Convention on the Law of the Sea)』は、国際海洋法において、最も普遍的・包括的な条約であり、別名「海の憲法」とも呼ばれているそうです。

1982年[US206]12月10日に署名され、1994年[US218]11月16日に効力発生しているもので、チャイナも批准しています。南シナ海仲裁裁判(2016年[US240]7月12日)は、チャイナの主張する九段線(nine-dash line)がこの条約違反であると結論付けました。

チャイナは、2009年[US233]5月7日以来、公式に九段線(nine-dash line)を国際社会に対して主張して来ていました。南シナ海仲裁裁判に従う意思のないことを公言し、これを無視しました。

アメリカは、形式上あくまでチャイナとフィリピンの間の仲裁裁判ではあり、公式にこれに言及することを避けて来ました。しかし、バラク・フセイン・オバマ大統領(第44代大統領、任期:2009年[US233]1月20日〜2017年[US241]1月20日)は、南シナ海における「航行の自由作戦(Freedom of Navigation)」を展開してチャイナの主張を事実上認めない立場を採って来ていました。


念のために、南シナ海判決の該当部分(p.117)を抜粋し、意訳を付しておきます。チャイナが主張する九段線は、「条約違反」すなわち「違法」であると結論付けています。

仲裁裁判所は、フィリピンとチャイナの間において、九段線によって囲われた南シナ海海域に関してチャイナが主張する歴史的権利は、『海洋法に関する国際連合条約』に反し、同条約に基づいて定めれるチャイナの海洋権益を超える部分について法的な効力を持たない、と結論する。

[…] the Tribunal concludes that, as between the Philippines and China, China’s claims to historic rights, or other sovereign rights or jurisdiction, with respect to the maritime areas of the South China Sea encompassed by the relevant part of the ‘nine-dash line’ are contrary to the Convention【= United Nations Convention on the Law of the Sea, 10 December 1982, 1833 UNTS 3 (or “UNCLOS”) 筆者追記】 and without lawful effect to the extent that they exceed the geographic and substantive limits of China’s maritime entitlements under the Convention.[…]

https://www.pcacases.com/pcadocs/PH-CN%20-%2020160712%20-%20Award.pdf

文責:四々縦七

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