08/10の週、アメリカとチャイナの事実上の「戦争」状態第4週において、アメリカは高官を台湾に派遣し、チャイナ企業5社の製品を使用する企業の米政府との取引を禁ずる規制を施行した。続いて、孔子学院を「外国政府機関」に指定した。今後は大使館並の情報公開を求めることになる。更に、TikTokの米国事業売却を命じた。
チャイナがいう「教育」や「文化交流」はすべて政治的なプロパガンタであるという点を的確についている所は、アメリカは流石である。昨年8月にはオーストラリアのニューサウスウェールズ州が州立孔子学院13校を封鎖すると発表している。言うまでもないが、孔子学院は日本にもある。TikTokに関しては、往年のジャパンバッシングを彷彿とさせる。こういう高目の球を投げることには慣れているチャイナが、投げられてどうするのか?が見ものと言ったところか。日本としては、アメリカ「も」こういう国だということはよく見ておいた方がいい。
一方のチャイナは、先週のアメリカによる香港政府トップら11人を制裁対象指定したことへの報復として、アメリカの上院議員ら11人を制裁対象指定した。また、米高官の台湾訪問に対しては、香港の民主化運動のリーダーの一人周庭(Agnes Chow Ting)氏を見せしめに逮捕した。翌日に保釈しているので、明らかに国内世論向けの陽動作戦だ。
換言すると、「核心的利益」の1つである台湾問題についてチャイナは守勢だということだ。一方、「革新的利益」である香港については、チャイナは既に手中に納めたと思っているだろう。そうだとすると、日本としては、「革新的利益」である尖閣諸島について、国内世論向けに、チャイナが奪取する可能性を警戒しなければならない状況が続くことになるだろう。
逆に言えば、(チャイナは国内のことを考えるとおおっぴらに日本を批判し辛いだろうから)日本としては台湾について米国と同等の処遇をし、関係を再構築する絶好の機会なのだが…
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- 8/10(月) チャイナ:アメリカ上院議員ら11人を制裁対象に指定。先週金曜日のアメリカによる制裁対象指定に対する報復と見られる
- 8/10(月) チャイナ:香港国家安全維持法違反容疑で、周庭(Agnes Chow Ting)氏逮捕。米高官の台湾訪問に対する報復と見られる
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- 8/15(土) 韓国:ムンジェンイン大統領が光復節演説。徴用工問題最高裁判決を改めて支持表明
- 8/16(日) チャイナ:尖閣周辺の東シナ海に設定した休漁期間が明けた。
文責:四々縦七